2015年11月28日土曜日

Ni-Tiロータリーファイルは歯根破折を引き起こすのか?

アメリカは今日からサンクスギビングで街中静かである。

公立図書館もUSCの図書館も開いておらず、我々家族はパームスプリングスという場所(砂漠の街)に来て穏やかに時間を過ごしている。

来る途中、フリーウェイから見える数多くの風力発電は圧巻であった。



アメリカという国は、電気代が異常に安い。(どんなに使い続けても月30ドルもかからない)

それがなぜか?をうなづかせる光景であった。

こんなに広大で、資源が豊かで・・・

今更ながら米国と日本の差をまざまざと見せつけられた思いである。

私は一日中、プールや広大な芝生でサッカーに興じる家族を尻目に、一人ホテルで論文を読み込んでいた。。。寂しい。。。というか完全に家族からは人非人扱いである。。。

そんな中で、面白いテーマに遭遇したので今回は久しぶりにブログの更新を兼ねて紹介してみたい。

Ni-Tiロータリーファイルが市場に出現して以来、根管治療のスピードや効率は格段に進歩した。(1,2)

またその柔軟性からハンドファイルでは医原的な変異を作っていたがために達成が困難であった、”根尖部を大きく拡大すること”も可能になり、根尖部を大きく拡大すると細菌が少なくなることが知られている。(3,4,5)

さらにNi-Tiロータリーファイルは規格化されているので、それに合ったガッタパーチャを使用すれば根管充填も素早くできるし、術後のレントゲンも満足のいく像が得られることが多い。(6)

このようにもはや歯内療法臨床でなくてはならないものとなったNi-Tiロータリーファイルであるが、近年、ロータリーファイルを使用したがために歯根にマイクロクラックが入りそのことで歯根破折が起きるのではないか?という報告がJOEでもIEJでも多く見られるようになった。

例えば、以下のような報告をabstractで知ることができるだろう。

- ハンドファイルの方がロータリーよりもマイクロクラックが入らない(7)

- ロータリーでもレシプロモーションのものが、そうでないものよりもマイクロクラックが入らない(8)

- レシプロでもロータリーでも差はないし、どんなファイルを使用しても程度の差はあれ、マイクロクラックは入る(9,10)

- SAFファイルはロータリー、レシプロよりもマイクロクラックが入らない(11)

etc...

こんなにいろんな情報を言われると頭が混乱してしまうが、一体我々はどうすればいいだろうか??

ここで大事なことは、以上の報告の多くは抜去歯牙で行われているという点である。

例えば同じような問題の例を挙げると、外科治療時の超音波での逆根管形成があるが(逆根管形成で歯根にヒビが入る)、それらの多くはin vitroでの報告である。(12,13,14)

in vivoでは歯牙は周囲に骨、歯根膜で覆われているためそれがクッションになって歯根破折は起きない(超音波のパワーを大きくさえしなければ)という意見が支配的である。(15,16)

ではNi-Ti ロータリーでのマイクロクラックはどうか?といえば、そのほぼ全てが in vitro(抜去歯牙)での実験であるということだ。(9,10,17,18)

最もよく行われている実験が、根管形成して根を切断して、切断部位に亀裂が入っているかどうかを顕微鏡で見るものである。

しかしこの手の実験には多くの欠点が隠されている。

①根を切断する時マイクロクラック発生する可能性がある

②切断部分のみを断片的に二次元でしか検査できない。(3次元的評価ができない)

③抜歯された歯の年齢、理由が不明なことが多いのでそもそも与えられた歯の象牙質の質や密度に影響がある可能性

④根管形成、切断、断面の精査時に歯が乾燥していると歯は自動的に割れてしまう

⑤抜去歯牙を保存液に入れることで象牙質が変化し、乾燥する可能性

この中で最大の問題が④だ。

歯は乾燥していると図のように勝手に割れていく。






(Shemesh 2015 Endodontic Topicsより引用)

これでは、根管形成で歯が割れたのか、乾燥して勝手に歯が割れてしまったのか?わからない。

それでは、ということで歯を切断せずにメチレンブルーで歯根の破折の有無を見る研究もある。(19,20)


(Shemesh 2015 Endodontic Topicsより引用)

根切断の必要ないのでそれによる破折のリスクを下げることができる。ただし、歯根が乾燥していると勝手に割れていくので、そうならないように工夫を施した実験も散見されるが、人体の口腔内とは規格が違う。

それでは、μCTで、レントゲンにより精度高く歯根破折を確認してみようという試みがなされている。(3つしか文献はない→21,22,23)

μCTを用いれば、歯質を破壊することなく破折を確認できるかもしれない。

このμCTでの調査(3つの文献)での結論は、Ni-Ti Rotaryを使用したからといって破折が増えたという結論は得られなかった。

ただしμCT自体の解像度が破折を確認するのに不十分な可能性が指摘されているというのが欠点である。

そこで、Popたちはsynchrotron radiationを使用して(より解像度が高いμCTを使用)マイクロクラックの有無を調べた。(23)


(Shemesh 2015 Endodontic Topicsより引用)

すると・・・Ni-Ti rotary, のみならずレシプロを使用しても破折が確認されたという悲しい結果になってしまった。(しかし、なんと治療してない歯にも多くのマイクロクラックが存在した!)

しかしこの研究の最大の問題が、対象となる歯が乾燥状態で撮影されたかどうかが不明なのだ。

乾燥していると歯は自発的に破折することは先に述べた。

またμCTでマイクロクラックの有無を調べるためにレントゲンを撮るのに1時間もしくはそれ以上の時間がかかってしまう。

従ってCT撮影時は歯が濡れていることが必要だが、ここがはっきりと述べられていない。

その他、In vivoで唯一の研究がAriasらのカダバー(ご遺体)を用いたもの(24)だ。

下顎前歯を治療せず、ロータリー、レシプロでマイクロクラックの程度を比較した研究である。

結果はマイクロクラックの発生率に有意差がなかった。(しかし、なんとここでも、治療してない歯にも多くのマイクロクラックが存在した!)

カダバースタディの長所は抜歯不要、より患者の口腔内に近い環境(歯の周りに歯根膜あり)であるが、欠点はカダバーを保存する保存液により、象牙質の質と象牙質の物性に与影響が加わる可能性があるという部分であり、やはり完全に口腔内に近い理想的な状態であるとは言い難い。

さて私はこんな話を長々として何が言いたかったのか?

結論は、現段階ではNi-Ti rotaryファイルがマイクロクラックを発生させるかどうか?それが臨床的にどこまで問題になるのか?は不明(25)、ということである。

そうしたら何もできないじゃないか?!

もうロータリーを使用するのはやめよう!やっぱりエンドをすると歯が割れるんだ!という誤解を受けかねないので、ここで私の意見を述べるとしよう。

先に述べた、in vitroでの切断を伴わない研究では、ある一つの特徴が導き出された。

”作業長を解剖学的根尖部より1mm引いた位置に設定すると、マイクロクラックの割合が優位に少なくなる”(作業幅径はマイクロクラックに影響していない)(20)

というものである。

根管形成を行う際に、オーバー形成を避けた方がいい理由がここでも導き出されている。

また、もう1つの特徴が先のsynchrotron radiationの実験、カダバーの実験でもわかったように、根管形成されていない歯にもそもそもマイクロクラックは存在していた、という事実である。

残念ながら、なぜマイクロクラックが根管形成されていない無傷の歯にも存在していたか?はわからない。

現段階では、加齢による歯の変化、咬合による影響が考えられる。(24)

しかし、そもそも歯にはマイクロクラックが入っているのだ、と考えるのであれば、このことがエンドにおいてもミニマムインタベーションを意識した方向へと時代が向かわせているのは疑いがないところだ。

私の意見をまとめると、

①作業長はオーバーにならないように気をつける
②ミニマムインタベーションを意識した根管形成・洗浄を行う(これはテーマが飛んでしまうのでここでは述べない)

ということになる。

さて、ここから先は、来年2月の歯界展望に掲載する予定でいる。

チェアマンのDr.Rotsteinとこの点を来週議論する予定なので、楽しみに?していてください。

References

1. Short JA, Morgan LA, Baumgartner JC. A comparison of canal centering ability of four instrumentation techniques. J Endod. 1997;23(8):503-7.

2. Hata G, Uemura M, Kato AS, Imura N, Novo NF, Toda T. A comparison of shaping ability using ProFile, GT file, and Flex-R endodontic instruments in simulated canals.J Endod. 2002;28(4):316-21.

3. Siqueira JF, Lima KC, Mahalhaes FAC, Lopes HP, de Uzeda M. Mechanical reduction of the bacterial population in the root canal by three instrumentation techques. J Endodon 1999;25:332-335.

4. Card SJ, Sigurdsson A, Orstavik D, Trope M. The effectiveness of increased apical enlargement in reducing intracanal bacteria. J Endodon 2002;28:779-783

5. Baugh D, Wallace J. The role of apical instrumentation in root canal treatment: A review of the literature. J Endodon 2005;31:333-340

6. Zmener O, Banegas G.Comparison ofthree instrumentation techniques in the preparation of simulated curved root canals. Int Endod J. 1996;29(5):315-9.

7. Bier CA, Shemesh H, Tanomaru-Filho M, Wesselink PR, Wu MK. The ability of different nickel–titanium rotary instruments to induce dentinal damage during canal preparation. J Endod 2009: 35: 236–238.

8. Liu R, Hou BX, Wesselink PR, Wu MK, Shemesh H. The incidence of root microcracks caused by 3 different single-file systems versus the ProTaper system. J Endod 2013: 39: 1054–1056.

9. Yoldas O, Yilmaz S, Atakan G, Kuden C, Kasan Z. Dentinal microcrack formation during root canal preparations by different NiTi rotary instruments and the self-adjusting file. J Endod 2012: 38: 232–235.

10. Ustun Y, Topcuoglu HS, Duzgun S, Kesim B. The effect of reciprocation versus rotational movement on the incidence of root defects during retreatment procedures. Int Endod J 2015: 48: 952–958.

11. Hin ES, Wu MK, Wesselink PR, Shemesh H. Effects of self-adjusting file, Mtwo, and ProTaper on the root canal wall. J Endod 2013: 39: 262–264.

12. Saunders WP, Saunders EM, Gutmann JL. Ultrasonic root-end prepa- ration. Part 2. Microleakage of EBA root-end fillings. Int Endod J 1994:27: 325-9.

13. Abedi HR, Van Mierlo BL, Wilder-Smith P, Terabinejad M. Effects of ultrasonic root-end cavity preparation on the root apex. Oral Surg Oral Meal Oral Pathol Oral Radiol Endod 1995;80:207-13.

14. Layton CA, Marshall JG, Morgan LA, Baumgartner JC. Evaluation of cracks associated with ultrasonic root-end preparation. J Endodon 1996;22: 157-60.

15. Calzonetti KJ, twanowski T, Komorowski R, Friedman S. Ultrasonic root end cavity preparation assessed by an in situ impression technique. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 1998;85:210-5.

16. Morgan LA, Marshall JG. A scanning electron microscopic study of in vivo ultrasonic root-end preparations. JEndod 1999;25:567-570

17.  Priya NT, Chandrasekhar V, Anita S, Tummala M, Raj TB, Badami V, Kumar P, Soujanya E. Dentinal microcracks after root canal preparation: a comparative evaluation with hand, rotary and reciprocating instrumentation. J Clin Diagn Res 2014: 8: ZC70–72.

18. Ustun Y, Aslan T, Sagsen B, Kesim B. The effects of different nickel–titanium instruments on dentinal microcrack formations during root canal preparation. Eur J Dent 2015: 9: 41–46.

19. Adorno CG, Yoshioka T, Suda H. Crack initiation on the apical root surface caused by three different nickel–titanium rotary files at different working lengths. J Endod 2011: 37: 522–525.

20. Adorno CG, Yoshioka T, Jindan P, Kobayashi C, Suda H. The effect of endodontic procedures on apical crack initiation and propagation ex vivo. Int Endod J 2013: 46: 763–768.

21. De-Deus G, Silva EJ, Marins J, Souza E, Neves Ade A, Gon"calves Belladonna F, Alves H, Lopes RT, Versiani MA. Lack of causal relationship between dentinal microcracks and root canal preparation with reciprocation systems. J Endod 2014: 40: 1447– 1450.

22. De-Deus G, Belladonna FG, Souza EM, Silva EJ, Neves AA, Alves H, Lopes RT, Versiani MA. Micro-computed tomographic assessment on the effect of ProTaper Next and Twisted File Adaptive Systems on dentinal cracks. J Endod 2015: 41: 1116–1119.

23. Pop I, Manoharan A, Zanini F, Tromba G, Patel S, Foschi F. Synchrotron light-based lCT to analyse the presence of dentinal microcracks post-rotary and reciprocating NiTi instrumentation. Clin Oral Investig 2015: 19: 11–16.

24. Arias A, Lee YH, Peters CI, Gluskin AH, Peters OA. Comparison of 2 canal preparation techniques in the induction of microcracks: a pilot study with cadaver mandibles. J Endod 2014: 40: 982–985.

25. Shemesh H. Endodontic instrumentation and root filling procedures: effect on mechanical integrity of dentin. Endodontic Topics 2015, 33, 43–49





2015年9月21日月曜日

USC Japan Program, エンドハンズオンコース

今週末は昨年に引き続き、USC Japan Programのエンドのハンズオンコースを手伝った。

ただ私はファカルティからもこの事務局からも何の連絡も数日前まで受けておらず、やはりいきなり来い!であった。(しかも場所も時間も何も知らない)

講師はDr.ラスティン、Dr.リービィ、Dr.バダーン、そして昨年卒業したDr.タリムの4人で私はトランスレーター。

私は彼らの講義を日本語に訳する係りで、ジョークとスラング以外はなんとか頑張りますという挨拶の後、6人の受講生の先生とともに講義・実習開始。

アクセス〜根管充填までを早足で駆け抜けたのでこの手の話が初めての先生には大変だったかもしれない。

しかし去年と違い、講義・実習とも非常にorganizedされていて見事なものであった。

聞けばDr.タリムが作成したとか。

さすが、彼はレジデントの時から非常に頭も腕も切れていたので、このまま日本に行ってもいい話をすると思う。

受講生の先生には、ボルテックスブルーを用いた根管形成、ブキャナン法(コンティニュアスウェーブコンデンセーションテクニック, CWCT)とシルダー法の2種類の方法が伝授されたが、それ以上に重要なことは根充方法によりアウトカムでの違いがないこと、ラバーダムを始めとする細菌感染の可及的防御・除去であるということが強調されていた非常に良い講演であった。

しかし拙いながらも彼らの講義の訳ができるようになるとは自分でも驚きであった。

しかもただ訳すだけではなく、ここで一番言いたいことはこういうことでこう伝えた法が分かりやすだろう・・・とサマライズして行ったので、自分の頭の勉強にも非常に役立った。

また実習中、初めてと言っていいだろう、私はチェアマンのラスティンと初めて1対1で30分程度話をした。

このコースに対する彼の意見は、日本のGPの参加者のレベルがわからないので何を基準にして指導をしていいのか分からない(事前の情報が不明)ので困る、というものであった。

そして彼の本心を私が代弁すれば、願わくばエンドに興味ある先生だけを集めてのセミナーでやってほしいというものであった。

事実、この実習では抜髄の根管形成〜根管充填ができることを目標にしているので顕微鏡を用いた実習ではない。

これはラスティン曰く、”受講生が全員、マイクロに慣れていれば良いがどの程度か分からないので、顕微鏡の取り回しに時間をかけれないので”ということであった。

そして、もしお前が日本からエンドで歯科医師を連れて来れば、アドバンスコースとしてUSCのエンドのクリニックを使ってマイクロを用いた実習をやっても良い、企画書を持ってこいと言われたことだ。

ということで2年間、無報酬・無連絡のボランティアで携わってきたこのエンドのハンズオンコースですが、私が手伝うのもこれで最終回。

来年以降のこのコースの日本人の受講生の方は、”エンドのことがわかっている日本語通訳者”がいなくなるので少しタフかもしれませんが頑張って下さい。

私は帰国後、ラスティン先生が言われるようにもう少し内容を精査+グレードアップしてUSCのクリニックでマイクロを用いたUSCのファカルティによる講義(1日)+実習(2日)を合わせたエンドだけの3日間コースを企画しますのでまたそれはいつか告知できればいいなと思っています。

最後に、コースに参加された先生には講義のスライドをPDFで送りますのでしばしお待ち下さい。

2015年9月8日火曜日

歯科医師の方へお知らせ

今回は、歯科医師の方向けにお知らせです。

NYU(ニューヨーク大学)歯学部補綴科大学院卒で、米国補綴専門医の白先生と今年も年末に歯科医師向けセミナーを行うことになりました。



今年はUSCの歯内療法科で行われている診査、診断のプロトコールや考え方を、ABE(American Board of Endodontics, AAEのボード認定試験を取り扱うところ)のWritten Exam, Oral Examのガイドラインやこれまでの Annual Board Review Course and Scientific Updateをベースにして、エンド領域における診査診断についてGPの先生向けに3時間お話しさせていただく予定です。

年末とお忙しい時間で恐縮ではございますが、よろしくお願い致します。

2015年9月6日日曜日

歯科医師としての生き方

開業に向けて物件探しを遠隔から行っているが、これがなかなか難しい。

これはこの地域で誰もしたことがない開業をしようとしているからであるのはもう理解している。

何も事情を言わずに相談すると、折角紹介されても坪数が30前後だったりする。
通常、我々Endodontistが開業するには15坪もあればいい。
ユニットは1台。(もちろん、リコールや器具のセットアップのために、ユニットが2台あるに越したことは無く2台が置けるギリギリが15坪だそうだ。)

しかし、この15坪前後で歯医者に貸してもいいよというテナントが福岡にはほとんどないのだ。つまり、もしそうした条件に該当した物件があれば、急いで決めなければならくなる。帰ってゆっくり探せばいいじゃないか?と言われることもあるが、全財産をUSCにつぎ込んでしまったため、そのような悠長なことは言ってられないのだ(笑)。

また、内装ももう一つの最大の問題だ。
歯科の内装というと、坪50~70万が標準だという。
居抜き開業しか経験のない私にとって、この金額は高過ぎる。
しかも15坪のような狭いところだとその坪あたりの金額がさらに跳ね上がるという。
言葉は悪いが、crazyだ。
これをファカルティ連中に話すと、お前はどんな豪華なモーテルを作る気だ?と茶化されてしまった。
なぜなら、Endodontistのクリニックには、派手な外装も内装も要らない。
それが証拠にUSCのGrad Endoのクリニックを見ればわかるが、真っ白い壁にA-decの百数十万の簡易なユニット、レントゲン、そして顕微鏡。スピットンも無い。患者さんは排唾菅で口を濯ぐ。
私は意を決して、歯科専門ではない業者を探すことにした。そして配管に関しては今までもお世話になってきたHさんになんとか頼むしかないだろうと思っている。

また、ものすごくいい場所にあっても歯科には貸さない(同業者が既に入っているor水回りの工事が必要な業者は歯科に限らずお断り!)というテナントオーナーが多く、場所をもう少し広範囲に設定し直すことにした。
しかし、我々EndodontistはGPと競合することは100%無い。修復治療もメンテナンスも無い。補綴もインプラントもしない。保険診療もしない。衛生士も必要ない。最悪、自分だけでもできる。ただその事実は、アメリカならまだしも日本では誰も理解できないので、もはや説明することも諦めた。

またいわゆる歯科医院の居抜き物件も紹介された。
その中で印象的だったのが、そりゃあものすごい一等地、外観も内装も一流ホテルか!?と言わんばかりの歯科医院。

HPを見ると、審美歯科に重点を置いているようだったので、この一等地でなぜ売却?と思いきや、家賃がものすごく高いし、坪数も僕の必要なキャパをはるかに超えている。
しかし、不動産屋さんも今まで私のような開業を試みる歯科医師に当たったことなど無いので、本当に15坪前後でいいのか?と何度も確認されてしまう。彼らを随分と困惑させてしまっているのだろう。

とそんな矢先に、なんと素晴らしい物件が見つかった。

私の必要な坪数を満たしていて、歯科OKである。
しかも比較的安いし、私がかつて住んでいた生活圏にありそこなら駅との行き来も問題ないだろう。
ただ問題は人気がある場所なので他に流れる可能性も十分にあるということ。。。
タイミングがいいのか悪いのか。。。

また、機材に関してだが、基本的に今USCで使用しているものを全てそのまま持ち帰るので、必要なのはレントゲン、ユニット、オートクレーブのみである。
これはリースを組んでしまえば、どうやら私の開業は1000万以内で、内装の額次第ではそれ以下でなんとかなりそうだ。

CBCT、マイクロもプロエルゴを揃えたいところだが、プロエルゴはこちらで中古を探してみようと思っている。CBCTは近くに撮影できるところがいっぱいあるので、ルーティンな撮影を考えていない自分としては、敢えて開業時から揃える必要はないと考えた。というより、手持ちがないだけか。

機材(ファイル、超音波チップ)はレジデントでいる間に最大限、最安値で買えるだけ買って持ち帰るつもりだ。

12月には物件を決定し、内装工事を発注。4月に完成させ、そのままプレ開業し7月に本格スタート。(と勝手に決めているだけだが)。

いよいよ、私の歯科医師人生は北米大学院レジデントを経て第2ステージ、後半に突入する。

学生時代は全く歯科に興味が無く、なぜお前はここにいる?状態だった。
勤務医になり風向きは変わるどころかより悪くなり、私がこの仕事に目覚めたのはほんの10年前。あの時は若かった。。。
今の自分から見てあの時の自分は客観的に見ると、非常に背伸びをした感じに見える。
GP時代は、様々なものと戦わなければならなかった。
より良い治療をめぐる、患者さんや同業者との戦い。
そうした戦いを経て自分自身わかったことは、私はスーパーGPとしての才覚も才能もないということだった。

私の友人の歯科医師の中には本当にすごい人がいる。

スタッフを何十人と抱えて、モチベーションを高め保険も自費も無く、まさにチーム一丸となって歯科医院を繁盛させている。行列ができる〜ではないが、本当に敬服に価する。

また同じ福岡では、”本当の”インターディシプリナリーアプローチを行っている歯科医院がある。患者さんに全てのレベルの診療科目を提供されている。私がインプラントや補綴が必要になれば、間違いなく患者として通うだろう。この歯科医院はきっとこれからの福岡の歯科界をリードするに違いない。

しかし、私は?といえばどうやらこうしたことを実現・実行する、才覚もないし何せモチベーションが全く湧かなかった。
他人は変わらない、が私の持論で、目標が違う人間同士が集まっている歯科医院という集合体では、どれだけ妥協して着地点を見つけられるか?しか彼らとの交渉の余地がないなどと考えていたからで、それは今でも変わらない。いろいろな人に勧められて、いろいろなコンサルタントと呼ばれる人を起用し、いわゆる医院の構造改革を試みたが、結果は全く出なかった。

どうやら、私はどこかの元・捕手のように月見草のようにひっそりと決して主流派になること無く、少数精鋭でニッチな存在感を発揮する方が性に合っているようだ。

この10年で私は、歯科医師としての私の生き方、心地よさを見つけたように思う。
もし10年前に業者に勧められるまま某都市で1億近いお金を借りてあのまま開業していたら・・・私は今ここにはいなかっただろう。この第2ステージは自分らしく歯科医師人生を過ごしていこうと思う。

2015年8月30日日曜日

患者さん・歯科医師の方へお知らせ

福岡市・東区のまつうら歯科医院の理事長ブログでもすでに告知しましたが、私の方から患者さん・歯科医師の方へご報告があります。

1つは、帰国後のお話です。

色々検討した結果、福岡市でまずは歯内療法専門歯科医院を新規で立ち上げることにしました。



最大の理由は福岡市・九州地区には、米国歯周病専門医、米国補綴専門医はいますが、米国歯内療法専門医はいない、ということです。

また、歯内療法専門の歯科医院もありません。

それによってこの瞬間も多くの患者さんが、歯内療法の問題解決を必要としているのにもかかわらず、それを受け入れる場所がないのです。

地域差(東京との差)、世界差(米国との差)を埋めていくため、この地で頑張ることに決めました。

正直いうと福岡・九州で歯内療法専門医の需要がどれだけあるか?未だ未知数で不安な部分も大きいですが、

USC歯内療法科が掲げる、

『文化的・人種的な違いをもったレジデントを、それぞれの国・地域で歯内療法の水準を向上させる指導者、メンターとして資するように鍛える』という理念に後押しされ頑張ろうと決めました。

米国での歯内療法専門医の一般人への認知度、知名度、重要性、高待遇、子供の教育を考えるとこちらに残ることも正直、考えました。

また、新規事業に否定的な日本に比べ、すべての人に平等にチャンスがあるのはアメリカの本当に良いところです。それも魅力的でした。

しかし、最終的には上記のような理由(使命感)により、私は日本に戻り福岡・九州地区でまずは歯内療法の重要性を認知してもらうべく、尽力することにしました。

新しい医院の名前も決めました。

最初はシンプルに、“松浦歯科医院”としたかったのですが、原田のこの医院もまつうら歯科医院の為、混乱が生じるとまずいと思いこの名前は断念しました。

また愛着があった、“まつうら精密歯科医院”の名前の復活も考えましたが、もはやこの文言は精度の高い補綴や修復治療を指す言葉として歯科界でも十二分に認知されてきたと思いますので、歯内療法専門医として紹介を歯科医師の方々から受ける身としては誤解を与えるのは不適切と考え、この名前も断念しました。

英語名やカタカナも考えましたが、どうしてもピンと来ず、色々と考慮した結果、歯内療法のみを行う歯科医院として認知していただこうという趣旨で、

まつうら歯内療法専門室

としました。

とはいえ、まだ保健所にも相談していませんしこれが認められるのかどうなのかは、正直未知数ですので今のところ仮称とさせていただいています。

HPも簡素ですが、自分で作成し完成させました。→ まつうら歯内療法専門室 HP

ただしこれは告知用のHPですので、6月なかば以降に新しいHPを公開していこうと思います。

厳密には6月のcertification授与式まで、Endodontist(米国歯内療法専門医)ではないですので。

開業までのタイムスケジュールですが、今年の12月に帰国してそのまま銀行と交渉し、来年の4月中での開業を目指しています。

何せ、自分の生活すべてをかけてアメリカに来ましたので、帰国後すぐに働ける状況にしておかないと冗談抜きでまずいことになるからです。

4月は大学院の春休みが2週間ほどありますので、その時から診療しようと考えています。(プレ開業)

また大学院は来年の5月13日で卒業となり、6月半ばの歯内療法専門医の授与式まで雑務等を行わなければなりませんが、それまでにすべての雑務を終了させる予定ですので、5月半ばに日本に一時帰国して再び診療、そして授与式前に再び渡米、7月頭に帰国、そのまま日本で診療という形を予定しています。従って本格的なスタートは7月からとなります。

ただ、4月、5月〜6月も月の半分は診療いたしますので、4月に開業としました。

診療場所ですが、福岡市内某所を予定しています。実は本当にまだ決まっていません。

東京と違い福岡には私が希望するような物件がなかなかありません。

現在、物件等を探していただいていますのでじっくりと考えたいと思います。

診療時間は、USCと同じく月〜金までの8:30~17:00で土日祝日は休診とさせていただきます。

また、USCと同様に完全予約制、ユニットは1台で患者さんが診療室で別の患者さんと顔を合わせないようにし、1人1人の診察・治療に十分な時間をかけた診療を行いますので、完全自由診療とさせていただくことにしました。

詳細が決まり次第このHPで告知していきますので、よろしくお願い致します。

さて、2つ目の告知は12月帰国一時帰国に伴う理事長診療です。

12/5~12/30まで日本に一時滞在する予定ですので、歯の痛みや根管治療の問題でお悩みの方の診察を原田のまつうら歯科医院で予定しています。

ご希望の患者さんは受付まで、ご連絡ください。

ただし、歯内療法以外の診察は行いませんのでご了承ください。

また、この12月の診療をもちまして私が原田のまつうら歯科医院で診察するのは最後とさせていただきました。

原田には本当に色々な思いがあります。

個人的な事情で勤務を止めて、開業しようと決意したもののお金もコネも財産もない私が開業まで至るには実に困難を極めました。

色々な方々の支えで小児歯科専門歯科医院を譲渡させていただき、現在の診療形態に変えていくのにも非常に苦労しました。

私の父は2007年に還暦を前に亡くなりましたが、生前に “ここ(原田)がずっと続いてくれるといいけどなあ。。。” とよく言っていたのを今でも思い出します。

この思いを考えると複雑ですが、専門医として前を向いていきたいと思います。

ご来院いただいた患者さんには大変感謝しております。

今まで本当にありがとうございました。

私と某所でお会いすることがないように(笑)、原田でメンテナンスを頑張りましょう。

さて3つ目は歯科医師の方への告知とお知らせですが、今年の年末、東京でNYU(ニューヨーク大学)補綴科出身で米国補綴専門医のの白先生と再びコラボレーションで補綴・エンドセミナーをすることになりました。

内容は留学情報と、USC歯内療法科プログラムの特徴などを話す内容になっています。

内容は気軽に聞ける内容となっていますので、よろしければご参加ください。(詳細は、来月の歯界展望で広告されるとのことです)

以上、長々と失礼致しました。

2015年8月25日火曜日

留学希望者の方へ〜留学前に卒後の進路を真剣に考えよう

現在、帰国してからの開業を模索している。

銀行、税理士、諸先生方etc...と色々な人と相談し、自分の進路は固まった。

しかしながらここに来て壁にぶち当たってしまった。

問題は銀行とテナントである。

銀行は当初、福岡でやるなら喜んで協力します!であった。

裏を返せば、福岡以外だと認めないということ。

しかし、実際に話を振ると、現時点では海のものとも山のものとも知れぬ、”歯内療法専門歯科医院”の開業への投資を完全に渋っているようで、私としてはハシゴを外された気持ちだ。

そこに行き着くまでに多くの葛藤があったのにもかかわらず、である。

私は両親が歯科医師でも何でもないただの一般人。

悲しいかな何の財産もない。

留学費用はすべて自分で手出ししている。

誰かが私を救済してくれることもない、叩き上げの1代目だ。

そのため、帰国後すぐにゴージャスなエンドの歯科医院オープン!というわけにはいかない。

華美でない標準的なUSCのGrad Endodonticsのような質素な感じで十分にいいのだが、それさえもクリアできなさそうである。

つまり、現在手持ちのもののみで必要最小限度の開業を再び迫られることとなりそうだ。

プロエルゴは取得したかったが・・・。。。

増設に備えたかったが・・・

全ては夢と消えそうである(笑)。

しかし、それでも与えられた条件のなかでなんとかしなければならない。

すると、方法としては

1. 駅周辺で10〜20坪のテナントを探す

2. 駅周辺で10〜20坪の居抜き物件を探す

3. その上で格安の内装業者を探す(配管のみは歯科関係者にしてもらう)

4. ユニットから何からすべて中古かリース

という選択肢しかないので、それを元にして以前から目をつけていたすべてのテナントの状況を不動産会社に問い合わせたが・・・私が予定していた場所は結論からいうとなんと現時点ではすべてNG!!であった。

テナントの問題が発生したのである。

その駅周辺のテナントはオフィス用に建てられた古いものが多いので、貸室内に水回りが必要なクリニック(医科・歯科)、エステ、ネイルサロン、リラクゼーションマッサージなどは貸室内に水を引くことをオーナーが拒否(もし水漏れして、下の階に水が漏れた場合、パソコンなど、OA機器が壊れてしまったら保証ができない、と危惧)。

もう一つは一つのテナントに歯科を何件も入れたくない(その先生との競合?をオーナーが嫌がる・・・歯内療法専門医院は他のGPと競合には全くならない職種なのだが・・・説明しても違いは一生わからないだろう。。。)ことだという。

また不幸なことに、この駅周辺では10坪前後のテナントで開業していた歯科医院というものがほとんどないため、この駅周辺でやるには20〜30坪の許可された場所で開業するしかなさそうである。

幸いまだまだ時間があるので、不動産屋は色々と探してくれるということだが、日本にいないので十分な検証ができない。。。

さあ、先が見えなくなってきた(笑)。

そうこう考えると、すべてをひっくり返したくなるのはなぜだろうか?(笑)

カリフォルニアは住むには最適の場所だ。

人は明るい、多様な人種、温暖でマイルドな気候。

今まで暮らした中で最も住みやすい。

子供も英語を中心に会話するようになってきた。彼らの将来も考えなければならない。

しかもこちらで生活していれば、州ごとに職種ごとに最低年収が定められている。

例えば、某州ではEndodontistの最低保障年収は日本円で5000万だという。

しかも週休3日だ。

こちらでは、Endodontistという仕事が誰からも認められている。

タクシーの運転手のような歯科とは全く無縁な一般人でさえも、『お前、将来は確実だな!おめでとう!』というリアクションである。

それを思うと、こちらに残るという選択肢も考えた。

こちらで考えられる進路は、

①どこかに就職

②自分で開業

の2つであるが、②はまず無理だ。従って①ということになる。

実は仕事を見つけるのはかなり容易で、数件の歯科医院を紹介してもらったくらいである。彼らはビザのスポンサーになってくれる。

しかし、最大の問題はビザである。

外国人は何らかのビザがなければ、母国に帰らなければならない。

もし、このままの滞在を希望するなら歯科医師の場合、多くはH1bビザ(移民法が規定したProfessionalに発行されるビザ)が必要である。

アメリカが景気が悪かった時代、H1bビザは問題なく取れていた。

しかし近年アメリカは好景気で、今年、去年、一昨年は85000人という枠以上の外国人応募者が殺到し、抽選である。(今年は27万人が殺到)

クジに自分の運命を任す猶予は私の場合、ない。

アメリカの景気が悪くなることを祈ってもどうしようもない。

また頼みの綱のOPTビザも日本の大学院を卒業して学位を持っていない私は対象外。

しかもこちらに残るには、NBDE(ナショナルボード)Part1&2、WREB(西海岸で働くための試験)をパスしなければならない。

大学院で死ぬほど忙しい現在、NBDEを勉強する余裕はもはやなく、しかもNBDEはTOEFLと同じように有効期限があるため、今の私にはこちらに残るために何年もクジに人生を任せるという選択肢はもはやない。

それでは、ファカルティになるのは?といえば、これもエンドの場合は難しく、しかもかなり不安定な(上の気持ち一つでいつでも切られ飛ばされる)ため、それもまた時間の無駄というものだ。

以上勘案すると、やはり日本で何とかして開業しなければならない。

この結論を導き出すのはもう何度目か・・・。


さあ、今のところ私の条件は

① 某駅周辺で徒歩10分以内でミニマム開業

② 大きな坪数の居抜き物件で初期投資を低く抑え(しかし月の負担は大きくなるが)開業

③ テナントが豊富な見知らぬ場所で居抜きで開業

④ 自院(原田)で数年、歯内療法専門医として勤務して開業

⑤ ①〜④かつ/または 大きな法人でお抱え専門医として雇ってもらう(どこにそんな需要があるのだか)

の5つの選択肢しかなさそうだ。

これ以外にもやらなければならないことが多々あり、途方に暮れているという現状。

1つ1つ、この縺れた糸をときほぐさなければならない。

もう少し根気よく、①を続けていかなければ・・・・

さて、こんな私のような失敗?や葛藤をしないためにも留学希望者には卒後のプラクティスを明確にして渡米されることをお勧めする。

下世話な言い方だが、大学院への投資は回収しなければならないので。。。(短期のコースやCEコースとは訳が違う)

もしお抱え専門医として迎えていただける余地があれば、いつでもお話しお待ちしてます!

2015年8月6日木曜日

USCでの初めてのApicoectomy

今日はUSCに来て初めてのサージェリーの日だった。
午前中に#8の歯根端切除術。
午後に#3のRoot amputation。
日本で外科の経験はあるものの、外国人の外科治療だしやはり勝手が違うだろうから最初の日はとにかく少し緊張した。

USCでの外科治療の特徴は、まず外科前にCBCTを必ず撮影。その後、ファカルティと以下のようなことを議論しパスすると外科のGoサインが出る。

USC Grad Endo: Topic to be discussed when surgical case is presented to a faculty member
1. Pre-op preparation (making a foundation for success)
a. Diagnosis-options/informed consent, med bx., restorability
b. Retreat or not.
c. Oral hygiene instruction, cleaning o f surgical area, chlorhexadine rinses before and day of surgery etc.
d. Local cleaning while anesthesia is taking affect

2. Set-up-
a. prepare for all contingencies
b. thoroughly check set-up for completeness and all devices are working
before seating the patient.

3. Anesthesia & pre-op meds (decadron, nsaid's, antibiotics,others)

4. Flap design and anticipated suturing technique
a. Vertical releasing incisions, yes or no and if yes where
b. Horizontal: lntrasulcular full thickness, Luebke-Ochsenbein
c. How to raise flap
d. How to handle papillas

5. Location of apex
a. What does operator expect to see when flap is raised
b. Strategy for locating apex

6. Apicoectomy-yes or no and why
a. How do you know i f apicoectomy is complete?
b. Inspection ofroot with explorer, fiber-optic and/or metheline blue.

7. Removal oflesion-Biopsy! (prepare patient for cost).

8. Hemostasis- epi, Ca(S04), Fe(S04), pressure etc.

9. Apical prep-yes, no and why
a. depth
b. isthmuses
c. in canal with gutta percha
d. in non treated canals

10. Apical filling material- when, what, how mixed and placed
a. MTA
b. SuperEBA
c. Bonded composite
d. Xxxxx

11. How, whys and when for different suturing techniques and suture materials and needles.

12. Post-op instructions and meds.

13. Follow-up appointment plan

外科中は必ずファカルティがそのレジデントに張り付き、術中も容赦なくステップづつ途中で止められ確認・必要があれば修正をせまられる。

しかも最初は必ずDr. Shectherと行わなければならず、彼は外科中普通に止めてブラックボードに呼び出しそうじゃねえ!こうだ!と指示を出してくるので治療時間が倍以上かかってしまうのでみんなナーバスになる。

Dr. Shectherは切開、剥離、骨削除、レトロプレップ、MTA逆根充、縫合と全てに渡って真横から指示を出してくるので患者の麻酔が途中で切れてしまうことが多い。
今日も朝の歯根端切除術は9時半から始まり終わったのが12時だった。



この歯はもしアマルガムがなければもっと短時間で終わっていただろう。
アマルガムを歯根端切除、逆根管形成でいかに除去するか?というのが今日の最大のテーマであった。

なるべくアマルガムを骨窩洞内に拡散させたくないため、またMTAによるシーリングの厚みを極力確保したいため、如何にアマルガムより上の歯根を切除せずにアマルガムをバーで削ることなく取り出すか?がポイントであった。

指示通り、アマルガムを削ることなく除去したがアマルガムが根管内に残存してしまった。



しかしこれを指示通り除去。ポストまで逆根管形成し、MTAで根充した。




縫合も顕微鏡下で行わなければならず時間を要した。
特に1次治癒を狙うため弁の断端と断端が揃っていないともう一回やり直しを宣告されるので高倍率で縫合のやり直しをせざるを得なかった。

今回は前歯部だったので、切開はlntrasulcular full thickness, Luebke-Ochsenbeinの混合であった。やはり縫合がpapillaにかかった場合、そこに針を通すのが非常にテクニカルセンシティブで途中で何度も止められてややイラっとした感は否めなかったが(笑)、こうして一つ一つのステップでああだこうだと指示されたことがなかったので非常に有意義であった。

USCでは卒業までに最低10の歯根端切除術を行わなければならない。
従って、午後のRoot amputationはrequirementに含まれない。
ただ例年、どのレジデントも20の外科をこなして卒業しているので症例数に関しては心配はなさそうである。

なんといってもUSCでは歯根端切除術はCT撮影費用を含めてもたったの150ドル!なので合理的なアメリカ人は再治療よりも外科を行いたいという人が多い。

ということで今日1日は非常に長かった。。。
このままゆっくり寝たいところだが、明日までに症例のケースワークをしなければならず今日もあまり寝れそうにない・・・