2015年4月20日月曜日

日本へ一時帰国、診療へ

長かったspring termも今週末で終わりを告げた。
そして来月まで2週間の春休み。

今しがた調度羽田に到着。羽田は雨。


時差の影響で早くも頭がぼーっとしている。
今から福岡に帰っていきなり診療なんだが・・・

しかしこの春休みは日本に帰ってそれこそ診療と論文を読んだりの毎日になりそうだ。
学校は来月からだが、来月頭はAAEがシアトルでありそれに参加するため実質新しいsummer termは5/11から始まる。

5/15日には卒業式があり、2年生は卒業。
我々1st year residentsがいよいよ上級生になる。
しかしこれほどまでに1年が短いとは改めて思わなかった。
とにかく、毎日朝から患者さんが配当されており診療しない日はほぼなかった。
早くrequirementを修了させたいのもあるので、極力1回法で終了したがそれでもまだまだできたのではないかと後悔する部分もある。
学校もようやく楽しくなってきたというか、自分に余裕が出てきた。
この1年はUSCのASPIDプログラムのS先生やM先生、ペリオのファカルティのM先生や
S先生がいたというのも私には大きかった。しかし、来年からは学生と言われる人は恐らく日本人では私だけになるので、いよいよマイノリティーになろうとしている。
今タームは薬理学という爆弾を抱えたままの日々で私は個人的に一生Directorのクラーク先生のことは良い意味でも悪い意味でも忘れないだろう。

来季からはいよいよ外科が始まる。といっても既に日本で外科は行っているので、私はどのような違いがあるのか?を早く知りたいと思っている。
USCの外科はJ. Stropkoの外科のペーパーが元になっているという。
(Dr.シェクター曰く、ストロプコが俺のコンセプトをパクった、と言っている。相変わらずだ笑)
これを春休み中に2回通読し、来学期のdiscussionに参加するように言われた。

さらにはボードの試験の課題も出ていて、この春休みはまさしく読書漬けになりそうである。
また診療、銀行との交渉、そして読書。
1日がこうしたサイクルで終わるので日々休む暇がない。
福岡には24時間空いている自習室がないのでそれも困ったものだが目ぼしい自習室を見つけたので早速今日からそこへ行ってみようと思っている。

などとたわいもないことを久しぶりに文章にしようとしてみたが時差ボケでだろうか?何を言いたいのか自分でもよく分からない4月の日記となってしまった。




2015年3月11日水曜日

Board certificationへの道

USC Grad endoではAmerican Boradの試験は一応、任意ということになっているがここ5年間はすべてのレジデントが受験し、すべてのレジデントがパスしている。



またUSCのGrad endoのobjectivesの中の一つにBoard認定の専門医になることが定められているので、受験は任意という名のmandatory(義務)である。

昨日も2年生レジデントがカナディアンボードの試験を受けてきた。カナディアンボード試験はアメリカンボード試験よりも簡単であると言われており、自信のないレジデントはまずカナディアンボードの受験を勧められる。

上級生に聞くとボードの試験対策は前の年の12月の冬休みからで十分だよ的な話が多いが、私の場合は言語にハンデのある日本人なのでこれは完全に当てはまらないだろう。

このボード試験で厄介なのが、これを勉強しましょうという定め、決まり、範囲が全くないということだ。つまりエンドに関わるすべてが試験範囲ということになる。

しかし、実際はいろいろな意見がある。

私が聞いただけでも、Pathways of the pulp, Dental pulp, Inflammationはまずはボード試験への入り口だという声が多く、この3つをコンプリートするだけでも気が遠くなるのにそれに加えて、最低ここ3年以内のJOEに、クラシックなランドマークアーティクル、日々のliterature review論文、さらにこれにボード対策講習会で提示されたものを足したものが最終的な範囲になるそうである。






正直、今の段階から気が遠くなりそうなくらいのテスト範囲であり、これらを読破するだけでも難しいのに記憶をしなければならないのか(しかももちろん英語)と思うと一気に歳を食いそうである。

一応、Inflammation, Dental Pulpには和訳版が存在する。
ただ両方とも既に廃版である。
私はInflammationの和訳は持っているが、Dental Pulpのは持っていない。
しかもDental Pulpは既に2度以上新しいバージョンのになっており、和訳版が最後に発売されたのは1988年!ということを考えるとあまり意味はないのかもしれないが・・・

2年生になると対策講義があり、通常のliterature reviewに加えてその分の学習もしなければならない。従って今からできることはやろうと、最近は与えられたliterature以外に上述の3つの教科書をまずは読破し内容を把握することから始めている。

上記3つの教科書の中では、Pathways of the Pulpが最も臨床に即していて読みやすいのでまずはそれからスタートしている。

サウジアラビアからのレジデントはボード試験にパスすることがmandatoryだという。(そういう契約でここに来ているらしい)
私はmandatoryではないが自分の新たな学術的な目標にしている。

これは一見すると完全に無謀なことかもしれない。
TOEFLを最初に受験した時と似ている。
しかし、あのTOEFLでさえもクリアできたのだ。
Boardだってできないはずはないし、これをパスしないとここに来た意味がない位に思っている。

しかし、最近思うことが聞くこと、喋ることもハードだが何が一番ハードかといえばReadingであるということを思い知らされている。
読めば読むほど知識がつくのはわかるが、一度不慣れなワード満載な論文に出くわすと1つ読むのに数時間を要してしまうので調子が狂ってしまう。
とにかく理解できないと先へ進めないタチなので、余計に時間が掛かる。

今のところ、1日最低2本は読まないと消化しきれない。
しかも来週のlit. reviewがトロントスタディでこれがまた本当に面白く無いのでここ数日は完全に”作業”になってしまっている・・・。

さて、論文をどう読むべきか?というご質問をよく受ける。
例えばTOEFLの勉強をしているときに、ある先生はcritical readingなる読み方を提唱していた。つまり要点だけ捉えてすべてを読まないと言うやり方である。
しかし、結論から言うとこの読み方は歯科では通用しないだろう。

例えば前述したトロントスタディの中で初期治療(抜髄、壊死歯髄)の成功率を調べたものがある。そこによれば抜髄の場合92%, 病変がある壊死歯髄の場合74%だという。

しかし実際この論文では顕微鏡もNi-Tiも使っていない。
つまり、現代の多くの歯内療法専門医が行っている術式ではない。
そのことからこの数字をそのまま間に受けることはできない。

しかしそれでも抜髄で92%という数字はいかに無菌的な処置を行うことのほうが各種機材をそろえるよりも大事か?ということを示しているが、一度感染した歯を治療する際には裸眼は厳しいなという印象になる。

このように中身を精読しないと、自分がどう感じるか?がでてこない。

また第3者がどう感じているかも大事なわけで、私は今の所エンドの論文を読む際はまずABEのサイトからダウンロードできるLiterature review gideなど持っているものからまずはサマライズ(アブストラクトではなく、サマライズ)を探す。これでその論文が言いたいことが先に把握できるので、結論がわかった状態で読むと読み方も変わってくる。

今月末にはカンザスでボードレビューがあり、多くの2年生が受講するようだ。
試験は5月のAAEの次の週。
2年生は皆忙しく勉強している。
もちろん診療もこなさなくてはならない。

気づくとあっという間に1年が過ぎようとしているのに本当に驚く。
このブログも始めた頃はおそらく愚痴ばかりだっただろうが、今では前向きに勉強、診療ができている自分がいる。

与えられた環境でベストを尽くすこと、逆境と悔しさの中からこそエネルギーは沸き出ること、そして頑張り続ければ誰かが見ていてくれることをこの留学生活で改めて感じている。

なぜ留学してまで・・・とよく聞かれることがあるが、それは自分の中でまだまだこんなもんじゃない、という思いがあるからだ。
1つのステージを越えてももっと自分は良くなれるんじゃないだろうか?
もっと自分は変われるんじゃないだろうか?
もっと違う世界があるんじゃないだろうか?
と常に変化を求めてしまう。

好奇心と言ってしまえば言葉が軽すぎるかもしれないが、考えるよりも先に行動してしまうたちなので始末に追えない。

このように来るべきボード試験の学習も既に始まっている。
やること満載でいつもパソコンの上で力尽きて寝てしまう。
とにかく今は何も考えず、前へ突き進むのみである。

2015年3月9日月曜日

2015年1,2月を振り返る

昨日からロスはサマータイム(こちらではdaylight saving timeという)で、普通に過ごしているのに時間は1時間早いという日本生まれの日本育ちの私には意味がわからない?ちょっとした時差ぼけ的な1日だった。

今日からサマータイム導入されてのクリニックで時計が軒並み1時間遅い。が、時間は1時間早い。つまり朝8時半から学校は始まるが、実は今まで7時半の時間帯なのでみんね眠そうである。

私もこのなんとも言えない時間のトリックに今日は1日翻弄された。

最近は日々そうたいして変わったことがあるわけではなく、淡々とケースをこなしているような感じである。

ファカルティにコンピテンシーはパスしたがリトリーメントは日本でいっぱいやってたから、イニシャルをできるだけ配当してほしい(しかも大臼歯で痛いという主訴のやつ)という要望を出したら明後日の新患が#1の治療とあってびっくりした。#1といえばこちらで言えば上顎右側第3大臼歯である。つまり親知らず。親知らずのエンドをどうやってやれと言うんだ?と今から何が待ち受けているのかドキドキである。

とにかく最近は(というかここ数ヶ月)、大臼歯しか回ってこない。前歯や小臼歯を見ることがない。しかも初診の時に大体痛いやつばかり。まあ自分の希望なのでいいのだが、毎回忠実に私の要望通り配当されるので正直、驚く(笑)。

しかし、これは自分で言うのもなんだが、正直いい経験になっている。

みなさん、ご存知のように上顎はまあ痛みがあってもなんていうことはないというのは想像がつくと思う。とりわけ神経ブロックなどしなくても普通のinfiltration×2本で十分奏功するからだ。

やはり問題は下顎大臼歯だろう。
下顎の大臼歯でめちゃくちゃ痛い。こういうケースに遭遇すると普通は嫌だなあと歯科医なら誰でも思うだろう。

今まで振り返っても、
自発痛、激烈な冷水痛、噛めない、痛み止めも効かない、イライラする(痛いから私に患者が当たってくる)、腫脹、アブセスetc...
とにかく普通に勧められて来ました〜というケースはほぼ皆無である。

日本では(自分のクリニックでは)、こういう患者さんが来たときには治療不可、投薬して予約を取り直すようにしていた。
術前に痛み止めを飲んできてもらってそれから治療する。

しかし、ここでは痛いから来ているのでなんとかしないといけない。

そこで麻酔の出番となるわけだが、正直麻酔に関してはこれが黄金の法則である!というゴールデンルールがない。

つまり、伝家の宝刀など麻酔には存在しないのだ。従って、個々の患者さんと常にストラグルする必要があり、私はこれに関しては非常に興味深く臨床させていただいている。

USCのGrad endoでは下顎の治療で用いる麻酔はほぼ100%下顎孔伝達麻酔(Inferior Alveolar Nerve Block=IANB)である。

日本にいるとき、私はこの伝達麻酔というものをほとんどすることがなかった。いつも考えてみるとInfiltrationばかりだった気がする。それでも効かなければ、伝達麻酔するという感じだった。

しかし、こちらではまず第1選択が伝達麻酔でありそれが効かない時に次にどうするかを考える。

従って、下顎孔伝達麻酔ができないと治療ができない。

こちらでの術式はまずキシロカイン(エピネフリン1:100,000、日本と同じもの)を2本伝麻。

それでも効かなければ
①歯根膜内麻酔
②歯槽骨内麻酔
③髄腔内麻酔
を行う。

しかし、圧倒的に簡単で効果も持続時間も長く、麻酔効果が発現するのは②である。
経験がないとぞっとするが、ミニインプラントでも埋入したことがある先生ならなんていうことはないだろう。ただ刺入部位が痺れていないと痛いのでそれだけ注意する必要がある。

ただこの方法に問題があるとしたらコストである。
DentsplyからX-tipという製品が出ているが、これが10本で7000円。つまり1回の使用で700円である。

いうまでもなく、これを保険診療で使えば日本の歯医者さんは経営的に赤字になるので使用に関しては逡巡するだろう。

USCのレジデントでもこれを使用するものはほとんどいない。
コストがかかるからである。
しかもこちらでは、患者さんは痛みに耐えて当然という文化があるので、③の髄腔内麻酔をみな平然と行う。

なんでお前は髄腔内に麻酔を打たない?といつも同級生から言われる。
Pain is Painなんだから、Quick&Easy&Cheapなのに、と。。。

しかし私はどうもあの髄腔内麻酔の患者さんの飛び上がる感じが嫌である。
なので私のシークエンスは
伝麻、再伝麻、歯槽骨内or歯根膜内、そして最後が髄腔内である。

歯根膜内麻酔は日本ではしょっちゅうしていた。
しかし問題は効果が短く、痛みも歯槽骨内麻酔と比べて取れにくい。
しかも電動麻酔を持っていないので、歯根膜内に麻酔しようと思うとものすごい力が必要で私は個人的にこの方法を楽だとここで感じたことがない。
たまたま今日の患者さんはX-tipを切らしていたため歯根膜麻酔となったが自分の手がどうにかなりそうな勢いであった。。。

このほかにもGow-Gates法や開口が難しい患者さん用のVazirani-Akinosi法もあるが伝麻と比べて実は有意差はない、と言われる。しかし、経験的に伝達麻酔が効かなければGow-Gates法で効くという事が何度かあり、私はオプションとして患者が最大開口できればGow-Gatesも用いている。

痛みのマネージメントは本当に難しいが、現在は本当にいい訓練をさせてもらっていると思う。なんせ毎日来る患者、来る患者、ほぼHot toothなので。。。

また、麻酔が効けば1回法で終了することもしばしばある。
しかし今日は終盤、拡大していたら若干痛い、と言われ貼薬して終了となったが。。。

ということで、振り返るとこの1月、2月で50ケースを終了していたことが分かった。3、4月で40ケースくらい行けばいいかなと思っている。

またファカルティとの個別meetingでは、今のところクラスでも手技に関してはtop 3の中にいるらしい。しかしこれは完全に日本での貯金なので石井先生を初めとするペンエンドの先生がたのご指導様様である。

ある患者さんからはつい最近、レジデントの評価票?なるシートをいただいた。
そこでは私の手技、患者対応、スキル(どう患者がそれを評価するのかわからないが・・・)、プロフェッショナリズム、全てにおいて最高ランクをいただき、コメント欄に他の患者にも紹介します、大変すばらしい先生でした!と絶賛されていてそれをみたロヘスやリービィがわざわざコピーして朝のレジデント向けの講義で紹介したり、ラスティンには報告されたりするおおごとになったりで、久しぶりに大汗をかいてしまった(笑)。。。

と書くと順風満帆で自慢ばかりしやがってと捉えられるかもしれないが、もちろんストラグルしていることはほかに山ほどある。

薬理の試験は相変わらず未だ自分だけ受かっていないし、子供の患者には挨拶するなりいきなりギャーと走って逃げられるし、白人の婦人からは英語がフルーエントじゃないからチェンジでお願いしますと言われたり、PGペイシェント(HIVの患者。感情の起伏が往々にして激しい)からは早く終われいつ終わるんだ!と脅かされたのに腹を立てて、終われねえよ許可がないと!と反論して4文字言葉を浴びせられたり、ブリッジにラバーダムかけたらいきなり全部外れて困ったことになったりと逸話には事欠かない。

しかし、当初(去年の6〜9月)と違ってこれだけは確実に言えるということがある。
それは学校が楽しくなってきたということである。
最初は朝が来るたびに憂鬱だったのが、今では電車でUSCまで通うという現地人化した状態になっている。
しかも毎日、非常に楽しい。やはり私は臨床家なんだな、と実感している。

日本にいるときは、私がどれだけ正しい治療というものを叫んでも、患者さんに説明してもなかなか届かなかった。患者さんの中にはまるで893かというようなまるで私をリスペクトしない輩もいた。しかし、少なくともここでは一部の例外を除き私がリスペクトされないということはない。患者さんは常に感謝してくれるし一生懸命私の話を聞いてくれる。

日本に帰ればまた”戦い”が始まるのだろうけれども、少なくとも留学以前の時よりも”肩書き”は付くので今までよりも信頼してもらえるだろうか?

と言いながらこんなことをかいているようじゃあまだまだなんだろう(笑)。

精神的に相変わらず成長していないようだ・・・

2015年2月27日金曜日

It depends on the patient.

患者さんは50代黒人。

主訴は噛むと痛い。かかりつけ医に再根管治療を勧められたため、USC grad endoに来院した。

4日前に脱離したアマルガムの部分をコンポジット充填してその時のレントゲンで#30に問題が見つかったという。

しかしよく話を聞くと、もともとは全く痛くなく充填してから痛みが出たという。
しかもその充填物のfixをするので来週頭にはもう一度来い、という話になっていた。

口腔内にはsinus tractも腫脹もない。極めてノーマル。

こちらに来て初めて銀歯のクラウンを見た。装着したのは20年以上は前という。

つまりこの歯は20年間何の問題もなく機能しているのである。ただ2時カリエスは明らかにマージン付近に見られた。

しかし痛みがないので患者さんは少し怒っていた。

何で俺がroot canalが必要なわけ??

何にも痛くもないのに?

意味がわからない!

かかり付け医がなぜ紹介状をここによこしたかもわからない!と、僕に連発していた。

ええ、僕もわかりませんから今から診査させてくださいと歯髄診査に移行。

確かに、臨床検査からは何の問題も見られなかった。打診痛も咬合痛も圧痛もなし。
ポケットも正常範囲で動揺もない。

#31で綿棒を噛ませると明らかに痛い!というリアクション。
しかし、Coldはノーマルリアクション。EPTも+。
ただ、#31は来週頭にかかりつけ医でレジンをやりなすそうなので、ここが怪しいな・・・と目星をつけレントゲンを撮影。


BT-wingからすると、カリエスがクラウン内部まで浸透している?可能性が示唆される。
前医は相当思い切ったアクセスキャビティプレパレーションをしているようだ。
近心壁にはほとんど歯質がない。まさに首の皮一枚。

PAからも#30の歯質は過少であり、遠心根にはスクリューポスト。遠心根はNormal PDLに見えるが、近心根にはリージョンがあり、歯根を取り囲むような透過像が見られる。
破折の可能性が疑われる。
しかもdentin blockを起こしているか、レッジを作ってしまっているので元来の解剖学的形態は失われている可能性が高い。ということは再治療の成功率は50%未満であると言わざるを得ない。


また#31を見ると、遠心のレジンがなんとも頼りなさそうに見える。
アマルガムをレジンにやり変えたということだが、もともとMOD窩洞であったためこういう歯を直接法で充填するのは至難の技だ。私なら間接法でInlayを選択するだろう。
咬合面にはアマルガムが取り忘れさられている。

さて、以上を勘案するとどのような治療計画が妥当であろうか?

①再根管治療?

②抜歯→インプラント?

③経過観察?

④咬合痛は#31由来

以上を体系的にわかりやすく、患者さんが選択できるように専門家としてアドバイスしなければならない。

再治療であれば、利点は歯を残せる可能性がある。

ただし欠点は、修復可能かどうかの有無を再治療前にチェックする必要性。
虫歯が進んでいれば(レントゲンからはすでにかなり進んでいるように見える)、保存不可。
首尾よく残せたとしても残存歯質は相当薄くなることが予想され、再治療後に破折する可能性。
また再治療の成功率がこの場合は50%程度。治らなければ外科治療が必要。しかもその後、補綴治療も必要。

以上を勘案すると、抜歯という選択肢もある。
もちろん、何もしないという手も。

ここで重要なことは、それを決めるのは患者さん自身でなければならないということである。

スペシャリストは、治療の選択肢とそこで起こりうる可能性があることをすべて提示し、患者さんに選択していただけるようにしなくてはならない。

日本でGPをしていた時、私は常にこのスタンスだった。
虫歯1本治療するにも、様々な方法があり、そのすべてに長所・短所があり、費用もまばらで予後もまばらだ。症例によってはクラウンになることもあり、そうすると生活歯なら抜髄が必要になる可能性がありetc...などとスライドを見せながら話したものである。

しかし、一般的にGPは時間がない。
忙しいのだ。
多くの患者さんを見なければならない。
従って、“貴方一人に費やす時間”はほとんど無い、というのが本音だろう。
これは日本でもアメリカでも変わらないと思う。
なので、治療の内容を院長の代わりに説明する、なんちゃらコーディネーターなるものが必要になるのだ。

しかし、スペシャリスト(専門医)は違う。
専門的な知識をわかりやすく噛み砕いて患者さんに伝えることができる。
そのために十分な時間もとるし、それなりの準備もする。
また、我々はそのために相当な投資をしている。
なので、一般的に治療費は高い。
しかし、プライベートな時間は十分作ってあげることができる。
もしこれを読んでおられる方の中に、患者さんがいるとしたら
それを頭に入れていただければ、と思う。

この患者さん、最初は僕が挨拶してもニット帽を深く目まで覆い挨拶もしてくれなかった。

しかも、歯科医に対して文句の連続。
しかし、私が絵を描きながら必死に?英語で説明するとそれが伝わったのか、身を乗り出して聞いていただけて、最終的には詳しく説明してもらってありがとう。よくわかった。
俺は抜歯を選択するよ。
こんなに一生懸命説明してもらえたことは今までなかった、Thank you Dr.と言って帰っていった。



それはさておき、我々の個人的な意見はどうだったか?だが、
ファカルティは全員、Questionableで抜歯を第1の治療に挙げていた。
私の意見も同じ。インプラントの方がどう考えてもベターだと思う。

しかし、重要なのは誰がそれを決めるか?だ。
我々は助言はできるが、決定はできない。
決定するのは患者さん自身である。
患者さんがそれでも残したいといえば、我々は保存に努める。

すべてのファカルティがIt depends on the patient.というように、治療の内容は患者さん自身が決めることができなければならない。


2015年2月26日木曜日

Ni-Ti File 何がいい??

エンドのレジデントをしているので、よく聞かれることに

『どのファイル(のシステム)がいいですか?』というものがある。

例えば、うちのレジデントで最も人気があるのはVortex Blue。10人中6人のレジデントが愛用している。



その次はProtaper Next。



あとはEndoSequence。これは私だけか。。。

あと私は最近はProtaper Goldを頻繁に使用しているが、これもレジデントでは私だけだ。


私のファイルに対するこだわりは正直ない。
(ただし、個人的にこのオリフィスオープナーのSXは好きである。)

何でもいいでしょ?別に。というのが持論である。

現に、このファイルが最も優れている!!なんていう研究やペーパーはないし、結局好き好きだと思う。

しかし、何でもいいからといってSAFファイルやレシプロモーションのファイルは選ばない。

理由は、面倒臭いし高いから。

私は面倒臭いことが大嫌いである。

SAFやレシプロだと専用のモーターが必要だ。これらはご多聞に漏れず高い。

例えば、最近Satelecからエンドのモーターと超音波が合体したものが出たが、2000ドル位するという。



(個人的にはこれよりもアマルガムミキサーで練和可能なMTAカプセルの方が気になるが。。。)


レシプロだと破折しにくいと言うペーパーはあるが、そもそもファイルが折れる原因はそういうことじゃないし、どんなファイルだって破折する。

私は日本でGPをしている時、すべてのファイルは1回使用して廃棄していた。

現にK fileなどは1回使用したら、そのファイルはもう2度と根管の中に挿入してはならない。

従って、破折の心配をしたことがないし破折を起こしたこともない。

また、Protaper GoldなどのVariable taperのファイルも好きじゃない。

理由は、それにあったガッタパーチャを購入しなくてはならないからだ。

再治療なら特にケアしないが、イニシャルだとテーパーは小さいものを使用するので、根充の時に形成したテーパーにあったガッタパーチャを必要とする。

またvariable taperなどというと聞こえはいいが、要はそれにあったGPを購入しないとレントゲンが様にならないのだ。



従って、Protaper Goldなどのテーパーが特殊なものに関しては使用したい!と言う気にならない。

(じゃあなんでお前は使ってるんだよ、と言われればレジデント価格で激安だからと、トライしてみたいということ以外理由はない。)

とにかく、このシステムを使用すれば完璧!はないので、汎用性が高いものを選ぶべきである。

例えば、私はEndoSequenceで形成してそのあと、デンツプライのガッタパーチャで根充したりもするし、Vortex blueで形成してEndosequenceのガッタパーチャを使用することもある。

BCシーラーを使用してProtaper Goldで根充することもあるし、もう何でもありだ(笑)。

私が強調したいのは、メーカーや器具を揃えることに執着するのではなく、コンセプトを理解することの重要性である。

根管形成のコンセプトが理解できていれば、どんなメーカーのどんなファイルだって自分で考えて使用できるのである。

やたら高いエンドのモーターを買わせようと勧めてきたり、CBCTと抱き合わせで購入を勧めてくるメーカーはどことは言わないが、論外である。

ただ最も安価に?最低限器具を揃えるならば、dentistskyseaなどでの購入を考えてもいいだろう。同級生レジデントの様子からすれば、問題なく起動しているからだ。

ということで、器具やシステムにこだわるよりもコンセプトにこだわった方がいいという言葉を覚えておくべきで、もし日本でそういう研修会に行くならテクニックよりもコンセプト重視した研修会をお勧めする。

改めて、いうがどこの何のメーカーの何て言うファイルやシステム?ではなくて、コンセプトである。

2015年2月25日水曜日

Tips for Apex Locator through Metal Crown restorations

久しぶりの更新はナイトクリニックから。

実に役立つ情報だったので、日本の歯科医師の皆様にも共有していただきたいと思い今日はテクニカルなtipを紹介したいと思う。

そんなのもう知ってるよ!という方はスルーください。

その前に近況ですが、最近は日々大臼歯、しかもフックが強いのばかり。

MB2はもはや当たり前。下顎なら4根管、5根管、樋状根と腱鞘炎になりそうだ。

今日の患者さんは血圧が240/150もある人で、1回目は治療できず。
医師の処方により降圧剤を服用していただいて、今日1回目の治療となった。

それが今日のナイトクリニック。

私の最近のお気に入り?は、プロテーパーゴールドとボルテックスブルー。

使い続ければその特性がわかるもので、現時点で使い勝手が悪いと感じたことはない。

などと強弁しているが、ブラッセラーのファイルよりデンツプライの方が圧倒的に安く、お金のない留学生の私には実に財布に有難い、というのが多様の理由であったりするのはここだけの話である。

こうやって業者に取り込まれていくのか!、と実感している。

Dentsplyから話が来たらラドル並みに宣伝するかもしれない(笑)

それはさておき、今日のケースはメタルクラウンに穴を開けて根管治療をするというケースだった。

さて、このような時皆さんは何が一番困るだろうか?

そう。Root ZXがピーピーなるのである。

具体的に言うと、作業長を測るときにファイルがメタルクラウンに触れるとピーピーとこのようにメーターが振り切れる。


例えば、日本にいるときに歯質があまりない歯をエンドするときに、矯正用バンドで隔壁を作るときや、前歯でメタルの隔壁を作ることがあったが、問題はこのように一度ファイルがメタルに付着すると、上図のようメーターが振り切れて作業長を決めるのに恐ろしく時間が掛かったものである。

これについてどうにかならないだろうか?と今日、レジデントで話していたらデンツプライのサイトからこのようなTipを紹介してもらった。Youtubeでも観れるので、興味のある方は動画をどうぞ。

要約すると、RC-prepや根管バキュームチップを切ってできる断端を



このようにファイルに差し込むだけである。



こうすると、ファイルの上部がプラスチックで保護され、メタルと直接接触しないのでファイルがピーピー言わない。

治療する前にディスカッションしておいてよかった・・・。

あまりにも久しぶりに使える小技だったので皆さんにも紹介してみた次第である。

えっ?そんなことも知らなかったのって?・・・すいません。大した学術的な話ではありません。

こうしたTipsは都度、あればこのブログで紹介します。

さて、いよいよ今年の春から外科が開始。

外科を開始するにはファカルティとの面談をパスしなければできないので、今からはその準備も必要だ。

うちのファカルティがJohn Stropkoの外科の手法が好きなようでそれに基づくものになるという。

外科のliteratureも通常の授業とは別に大量に用意されている。

僕は今までPennのKim先生の方法しか知らないので、どのような違いがあるのか今から楽しみだ。

とにかく、座学がなくなって最近は学校が楽しい。

臨床家なので、日々多くのケースに当たらせてもらえて疲れはあるが満足した日々を送っている。

学校に慣れた?のもあるかもしれない。

となんら学術的なことを書いていないこのブログを更新するのは実に久しぶりなのには毎日多くの方(多分、歯科医師の方)に見ていただいているようで、感謝いたします。

まつうら歯科医院のブログと合わせると、なんと驚くべきことに1日約500人!もの人が私の文章を見てくださっています。

閲覧国も日本のみならず、最近はウクライナからも!閲覧者が・・・

また、最近もいろいろな先生から頑張ってくださいと励ましのメールをいただいたり、Facebookで交流させていただいたりと、本当にありがとうございます。

また私と同じように藤本研修会の門を叩いて留学したいと思っているんですが・・・という相談メールもたまにもらいます。

歯科界って少しづつですが、若い力で変わってきているかもしれません。

私が駆け出しの時は、⚪︎ニアや審美が大流行でした。

しかし、今はどうでしょうか??

若い先生ほど気づいています。それはちょっと違うんじゃない?と。

そしてエンドに対する価値観は明らかに変わってきています。

これは石井先生がいなければ日本には起きないムーブメントだったと思います。

その意味で石井先生の日本の歯科界に対する功績は計り知れないと思います。
なんせ、私まで海外に出てしまったわけですから。。。

しかし、私は最終的には日本でもこの米国と同じように、歯内療法および歯内療法専門医に対する社会的価値観・認知度が向上し、日本人の根尖性歯周炎の有病率が下がればと思っています。

こちらでは普通にEndodontistだと近所の人に言えば、それが何か?どれほど社会的地位が高いかは広く認知されていますが、日本ではその言葉さえ浸透していません。

皆、なんでお前は帰るんだ?こっちでやればいいじゃないかと言ってくれます。
確かに、それも一理あるなとぐらっとくることもないわけではありませんが、やはり私は日本人ですから日本をなんとかしたいのです。

私は、テクニック的なことや学術的なことは必要とされればお伝えすることはやぶさかではありませんが、それよりも一般の人にいかにこの治療が大変で専門医性が高いことなのかを語ることが私の使命ではないかと最近思うようになりました。

歯医者さんと絡むのはどうも苦手で・・・と言うのは今でも変わりませんし(笑)、幸い書いて伝えることは何故か得意なので、これからも発信し続ける歯内療法専門医でいたいと思います。

そうしたことを来る今年の夏にアップ予定のホームページに組み込んでいきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いいたします。

2015年2月11日水曜日

Case presentationとWritten Board examの準備

来週の火曜日、ついにケープレのお鉢が回ってきた。



5症例を準備しなければならない。ただ残念ながら私のケースはすべてコンベンショナルなイニシャルトリートメントで、要は抜髄と壊死歯髄のケースしか出せない。



この前、同級生が下顎小臼歯の4根管!をものの見事に根充していたが、そのようなGood caseに未だ巡りあえない。

下顎小臼歯のC-shape,上顎小臼歯の3根管くらいしか自分はそういう特殊なケースに当たったことがない。
ただ、もっか子供の水平性歯牙破折の治療をしているので、それが今僕が有する最高に面白いケースということになるが、あとは毎日Initial Tx。

ただ、この状況は私にとって非常に都合がいい。
なぜなら日本では私のクリニックの患者さんの多くは再治療、外科治療でInitial Txがほとんどなかったからだ。

ペンエンド受講時もこの問題に幾度となくぶち当たったのを覚えている。

それに比べれば今は非常に良い環境である。

誰も手をつけていない根管を触れられるという喜び?で毎日クリニックでは楽しく過ごさせていただているのだ。

Initialでも感染している場合、していない場合だと根管形成の最終拡大号数は当然変化する。

そうしたことや、作業長の位置、洗浄、根管充填、などコンベンショナルだが非常に大事なテーマについてdiscussionを催すようなプレゼンテーションをしたいと思っている。

与えられた時間はそうないが、全力を尽くすのみである。

さて、もう一つ。今日は朝から上顎犬歯が2根管ありそうな患者さんのCBCT撮影、および診断とカウンセリングの予定がドタキャンされ、私は恒例のロヘスとリービィとの3者面談と相成った。

ここでケースについてディスカッションしたが明らかに前と比べてロヘスが何を言っているのかがわかるようになっている。あのキューバ人の英語は最初は非常に困った問題であったが・・・英語はもしかしたら時が問題を解決してくれるものなのだろうか??

それはさておき、今日はボードの話になった。

USCのエンドレジデントは毎年、すべての人がボード試験を受けなければならない。
日本人だからって俺は関係ないとかは許さんぞ(笑)とリービィにはまたしても脅かされた。

しかし、ここ5年、Written Examで落ちた人はUSCのレジデントは1人もいないという。
私がその記録を破る?不名誉な記録を作るわけにはいかないのだ・・・。

後のケースプレゼンやオーラルexamはWritten Examに比べればまだ私にとってはまし?なので一番の難関のWritten Examをどう制するか?について今日はいっぱいdiをした。

最近はliterature reviewの量が多く、どうしたものかと途方に暮れていたが全部Landmark articleとあって読み飛ばすわけもいかず、かといってCase presenの準備もせねばならず、Boardのことを考えたいが今はとにかく毎日必死についていけばWritten examには間に合う、という感じで生活を送れば良いということがわかっただけでも随分と精神的に楽になった。

しかし、最近は私も知恵がついて(?)読む前にLandmark articleのsummary集からその論文の主旨を最初に手短に抑えて読むという癖がついた。しかも読むスピードも随分と早くなった気がする。問題は忘れっぽいところなのだが(笑)・・・。

USCのエンドに来たい先生にうちのメリットを紹介すればやはり多量の患者さんで経験ができること、そしてBoardを取りたい先生にはぴったりかもしれない。
すでに1年次からその対策がカリキュラムに入っているし、2年生になればそのためのクラスもある。ファカルティはいずれもBoardをとらせたく、みんな親身になって相談にのってくれる。

私はUSCに受かって他がすべてダメだった時から絶対にBoardを取る!と決意していたので、本当に偶然だったがこのプログラムに入れていただいて大変感謝している。

当初はその圧倒的な分量に逡巡もしたが、今は日々Board対策で燃えている。

やはり短期的な目標はモチベーションを上げる燃料としては必要だと改めて認識した。

Board筆記試験は来年の5月。それまでにベストを尽くしたい。