患者さんは60代のメキシコ人女性。英語が喋れない。
主訴は#11のPFM(連冠)が脱離しそう。それに伴い#11に冷水痛と温熱痛を少し感じるとのこと。
口腔内には#6-7-8, #9-10-11のPFM Crownが連冠で装着されていた。
臼歯部は崩壊し、前歯だけで咬合。
その結果、フレアアウトを起こし若干の動揺を来している。
レントゲンを撮ると、#11は既に根管治療がなされており、レントゲンでも分かるくらいの縁下カリエス。根尖病変は僅かだが存在した。ただ打診も圧痛も無い。ポケットも健全。#9も既に歯内療法処置済み。病変は無い。打診も圧痛も無い。#10のみが唯一生活歯。また#12は全くの健全歯であり各種検査に対してWNL。自ずと私の疑いの目は#10に向けられた。
#10は冷水痛にも温熱痛にも反応無し。EPTには反応。その後繰り返し冷水痛試験を繰り返すが、やはりNo reactionだった。
なお、PFMは唇面が破折し、マージンは下がり、目でもつぶって形成したのかと言うくらい不適合マージンで、既に歯根が大部分露出していた。
打診痛、咬合痛試験には反応無し。ポケットは#10の近遠心のみ4mmだったが、動揺が1〜2程度あった。また圧痛を感じた。ただこれは疑陽性の可能性が高い。なぜなら健全部位でも痛い!と言ったので。
私の診断(#10)は歯髄診断はNormal根尖部歯周組織の診断もNormal。
#11は歯髄診断がPreviously treated, 根尖部歯周組織の診断はAsymptomatic apical periodontitis.
確かにReferalがいうように、#11はブリッジを遣り替えるなら再治療した方がいいだろう。
しかし、それ以前にrestorabilityがあるだろうか、私にはかなり疑問だった。
#10に関してはReferelの要求ではないので何も言えない。
もしも彼女がブリッジを遣り替えるのなら、##11の再治療(但し補綴治療が可能であれば。)。#10は再度歯髄診の上、生活性が担保されるならやはり経過観察。便宜抜髄を希望すれば、抜髄。
#11の予後はquestionableもしくはguarded。要は歯内療法を行なう前に、Restorability checkが必要な症例なのである。
しかし、レントゲンを見る限りは保存するには複雑な治療が必要と考えられる。
たとえクラウンレングスニングやエクストルージョンを行なっても、臼歯部が無いので早晩クラウンの破折を繰り返すだろう。もし治療するなら相当複雑で長期的な治療が必要である。私はそのことを彼女に説明した。するとこのメキシコ人の女性は複雑な治療を希望された。しかし私はエンドレジデントであるので、補綴計画には関知しない。私がやるべきことは、#11が保存可能なんであれば再治療だし、#10の便宜抜髄が必要ならそれをするまでだ。
ここに一抹の侘しさを感じたのは、まだレジデント1年目だからだろうか。
彼女の主治医はもっと包括的な良い治療計画が立てられないのだろうか?とつい思ってしまう。
少なくとも私なら、臼歯部の咬合を早く何とかした方がいいと思うが、Referalはそこはおかまいなく、#6-7-8-9-10-11のPFM Bridgeを再製したいようだった。
歯内療法専門医が一番忸怩たる思いで症例をこなさないと行けない場合はこういうときだろう。エンドの予後はご存知のように、かなり高い。
しかし、治療全体を決める司令官は補綴医(もしくはGP)である。
我々はその意味では、下請けである。
しかしエンドの予後は高いのに、修復の予後が低ければ治療が上手く行かなかった時に失望するのは患者さんだろう。こちらまで恨まれかねない。
その意味でも、エンド治療の前のカリエス除去およびRestorability check(修復治療できるかどうかを確認すること)は非常に重要なステップになる。
この仕事は、通常補綴医が行なう。歯内療法専門医の範囲外である。
我々は補綴医が修復可能と踏んだ歯に対してのみ、歯内療法を行なう。Restorabilityの無い歯には修復治療はおろか、歯内療法は行なえない。Referalにはその意を電話にて報告し(ようとしたが私の英語が頓珍漢でFacultyに代わりに説明してもらったのだが・・・)た。
この患者さんを通じて将来の開業時の在り方を考えさせられた。
エンドドンティストとしてRestorability checkを行なうべきか、それともそこは自分の仕事じゃないとGPや補綴専門医に任せるのか。もし自分でcheckを行なってその歯が短期で補綴的に失敗した場合、その責任の一端は自分が担わなければならない。となると、補綴治療をしない私にとっては責任の範囲を超えてしまう。日本での慣習がまだ私に強く残っているので、つい仮歯とかを作って治療してあげたくなる衝動に駆られるが、逆に保存が怪しい歯を無理矢理エンドして補綴医がこんな状態じゃ補綴できないよ!となるとそれまた問題だ。
事実、こちらでもそういう問題が非常に大きい。つい先日もエンドはできたが補綴に回されて補綴科のレジデントがこんなのどうやってクラウンするんだよ、コアがグラスアイオノマーだけどどうみてもやるならメタルポスト&コアだろう、何考えてんだエンドのレジデントは!というようなもめ事があった。
エンドのレジデントが縁下カリエスの歯に無理矢理グラスアイオノマーで隔壁を作り、sのままそれを全て除去せずに一部レジンで築造した為、彼らがクレームを付けたのだ。
しかし私からすればそれは至極もっともな話である。ラバーダムがかからない歯に無理矢理レジンのコアやファイバーポストを立てても脱離する。ましてやグラスアイオノマーでは。。。このような状態で脱離したらクラウンごと取れるので、責任は補綴医が取らなければならないが彼らにしてみればいやいや(ポスト)コア立てたのエンドでしょう、と言う話になる。
私は今でもあまりレジンの築造を信じていない。ラバーダムが容易にできる歯であればよいが、そもそも前歯は別としてポストコアを立てなければならない症例はラバーがかなり怪しい感じでしかかからない。防湿が不完全になる。こちらでもそうしたことが多々ある。私は保存不可能。でもfacultyはいやいや保存可能でしょう!と話が噛み合ない事が多々ある。でもメタルコアだと印象しなければならないので自ずと防湿はできないし、仮歯も相当不完全で細菌漏洩が多くなる。こんな時、CAD/CAMでメタルコアを即時で作れればどれほど便利だろうと個人的には思う。
以上を鑑みると、現時点ではやはり私はRestorability checkに足を突っ込むべきでないなと言う気がする。自分で責任を負えない事までしなくてはならなくなるからだ。
せいぜいやっても、隔壁、コアの築造までだろう。ポストコアをたてる勇気は今の私には無い。それは補綴医でやってね、と言う話になる。(但し、前歯は別。)
こちらに来てもう10月。あっという間に5ヶ月目を迎える。日々、プログラムを修了した後の自分のプラクティスの在り方を考えながら臨床に取り組まなければならないと言う気持ちを再確認させられた1日だった。
このReferalしたのはGPですよね?補綴専門医なら間違いなく臼歯部の再建をまずは考える。まずは保存修復可能か、補綴可能かどうか。補綴するからエンドをよろしくという流れだと思います。日本だったら、紹介先に問い合わせしやすいかもしれませんが、日米問わず、最後に責任の所在が問題になるので、そのあたりのエンド専門医の判断は難しいかも。おっしゃる通りです。
返信削除>少なくとも私なら、臼歯部の咬合を早く何とかした方がいいと思うが、Referalはそこはおかまいなく、#6-7-8-9-10-11のPFM Bridgeを再製したいようだった。
エンドのレジデントはともかく、こんなレベルのGPには、パラのインレーについてとやかく言われたくないですね、笑 まぁアメリカのGPなんて、ほとんどそんなレベルですけどね。。
Haku先生 先生のご指摘通り、GPです。何回電話してもなかなか繋がらずようやく繋がったと思ったら僕の英語が悪く受付に1度切られてしまいました。Facultyが電話をかけ直してくれて何とかなりましたが、たかがGPの私でもこれってまずいでしょ?って思いましたが・・・正直ここまでこちらの歯科医師は格差が激しいのかと今は少し前とは違う考え方になりました。ノーベル物理学賞を最近受賞された某教授が言うように、英語さえ何とかなれば日本人は・・・と思いますが、結局教育システムの問題であまり変わりはないのかな?、と言う気がします。エンドケースプレでパラのインレーに突っ込むのは無しにしてもらいたいですね、正直(笑)。GPのレベルがこんなだととはすごく意外です。紹介状一つ見ても、読めないような汚い字で一行、もしくは最悪一言だけ、#◯ Root Canalとか書いてあるのでビックリします。しかもそれをそのままほぼ受け入れるしかないこのシステムは一歩間違うととんでもない爆弾を貰うようなものでヒヤヒヤします。ここは大学なので保護されていますが、自分が将来この問題とどう向き合うかはきちんと線引きしないといけませんし、自分の中ではrestorability checkとポストを含む築造はしない、という決まりが既にできたのも事実なんですけどね。。。良く紹介状にコアまで宜しくと書いてあるのもあるんですが(勿論GPからです)、カリエスが進行していてラバーダムもかからない、健全な歯質も殆ど残ってないのに何でコア築造なんだよ、完全に間接法だろと思う事が多々あります。ラバーダムしても結局ラバーを切ってトッフルマイヤー巻いてGIで隔壁形成するのに、ラバーダム必ずかけろとか意味が分かりません。(これはfacultyの一部に対する意見です)私は2年でここを去るからいいですが、補綴をされる患者からしたらたまったもんじゃないでしょうね。自分の中では接着でコアを築造するような症例ってエンド専門医ってほとんど無いと思うのですが。余程状態がいい歯やMOやODなどのインレーだった歯を便宜抜髄依頼される時意外でそうそうコアだけで済むパターンなんて無いような気がしますが、いかがですか?また、補綴専門医から見てファイバーポストコアをどのように評価されますか?私はファイバーポストコアには苦い経験しか無いのでどうしても信用ができません。ここは意外に歯医者さんが見てくださっているので、僕や彼らの今後の為にも先生のご意見を是非お聞かせ願えないでしょうか??
削除加筆すると、コアだけで済むような状態がいい歯のエンドはGPの先生がすると思います。なので、エンド専門医がコア築造する機会は僕はほとんど無いと見ているのです。もしコアまでお願いと紹介状に書いてあったら最近はああrestorabilityの疑わしい症例が来たな、と警戒します。すると案の定そうです。縁下カリエスで血まみれの歯にGIで隔壁作り、終わったらレジンで築造するとか僕にはどうしても納得がいかないんですが。。。それってその時点でメタルコアじゃないの?と思ってしまいますが僕のこの考えは間違ってますか??
返信削除補綴科に来院される患者さんはフルマウスや総義歯が多いですし、健全歯質が残っている方はあまり見かけません。コアだけというのも、確かに便宜抜髄の時くらいでしょうね。また、補綴科で治療計画を立て、補綴処置の方法を決めてからエンドに送るので、エンドから修復方法の問い合わせが来るという経験は今のところありませんが、もしそういうケースに遭遇したら、紹介先に問い合わせしてカルテに書いておくことをオススメします。松浦先生に紹介したGPは、包括的な治療計画も立てていないでしょうし、その歯自体の補綴的な診断もついていないだけでしょうから、あまりかかわらないほうが良いかもしれません。おっしゃる通り、患者さんは可哀想ですが、この国はすべて自己責任で成りなっているので。。フェルールは全周2mm以上残存歯質がある場合のみ適応です。
返信削除そもそも補綴科では、カリエスが進行していてラバーダムもかけられない歯は、メタルコア以前に抜歯になることが多いです。なぜなら治療費に関して、エンド、歯冠延長術、ポストコア、クラウン>抜歯、インプラントの不等式が成り立つからです。あとは、補綴専門医のアタマの中に、歯冠延長術という選択肢は存在しない可能性が高いというのもあります。一方で上顎なら審美的にハイスマイルラインだと歯冠が不揃いになってしまう可能性もありますし、患者さんも歯茎を切るなんていう恐ろしいオペをするなら、予後は良いほうがいいに決まっています。エンド処置歯は〜80%、インプラントの予後は90%<。。とすると私見ですが、日本の方が自分一人ですべての処置を出来るという意味では、臨床の醍醐味を味わえるのではないでしょうか。
専門医による連携は、一般歯科を幅広く理解した専門医同士でこそ、素晴らしい結果が得られる、そういう意味では日本の歯科はもしかしたらそういう可能性を秘めているのかもしれません。教育システムの影響や効果も大きいですが、アメリカのこれだけ整った専門医養成課程で学びながら、ひどい治療しか出来ない補綴専門医もたまに遭遇しますから、そういう意味では、最後はやはり「個」の力にかかっているのでないか、と感じている今日このごろです。
Haku先生 ありがとうございます。明らかにラバーダムがかけられないそうにない歯に、コアまで宜しくとか書いてあると、そもそもこれ抜歯でしょ?といつもfacultyと議論になります。”フェルールが2mm以上全周残存”しているエンドの症例なんてそれこそこっちに来てほとんど無いですね。。。まあ患者さんには申し訳ないと思いながら割り切るしか私にはここで振る舞う事以外選択肢はなさそうです。ご存知の通り、歯冠長延長術や矯正的挺出が補綴的な問題を完全に解決できる訳ではないので、よっぽどこういうときこそインプラントが有効だと思うんですけどね。歯槽骨までカリエスが進んだ歯に隔壁立ててエンドするというこの行為に違和感がたまりません。補綴をした経験が無いEndo専門医は何でもそれこそエンドしようとするでしょうし、何も知らないGPはそれこそ全力で個々の歯を保存修復したがり木を見て森を見ずになるでしょうし。”専門医による連携は、一般歯科を幅広く理解した専門医同士でこそ、素晴らしい結果が得られる”と言う言葉には本当に納得です。ありがとうございました。ただ1点、エンドの予後ですがinitialなら90%以上、リージョンあるinitial Txでも85%、再治療では状況にもよりますが概ね70%前後、サージェリーまですると90%というのが現状です。ただこれは根尖性歯周炎のみの治癒、success rateですので、そう考えると補綴的に極端に状態が悪い歯を無理矢理残してクラウンにする事自体が私にはNOなんですが、ここがどうしても一人一人考えが違うというか、曖昧に決定されるのがエンドの世界全体であると思うんですよね。私は極力、客観的でありたいとこれからも思っています。
削除>補綴的に極端に状態が悪い歯を無理矢理残してクラウンにする事自体が私にはNOなんですが、ここがどうしても一人一人考えが違うというか、曖昧に決定されるのがエンドの世界全体であると思う
削除結局、自分が主に学んだ分野の「哲学」に偏りますからね、だからこそ総合的に学ぶことが重要なのですが。私は特にペリオの重要性を訴えたいですね。包括的な診断力は、すなわち歯科治療の本質、出発点とも言えるEtiologyに対する分析を疎かなにしない、と言い換えることが出来ると思います。エンドは予後不良だと抜歯してしまいますが、補綴治療が終ってメインテナンスの患者さんが歯肉炎だったりすると、ブリッジ全てユニット全体に問題が生じてしまうので本当にがっかりします。つい補綴のオプションに目がいってしまい、ペリオ、歯肉や歯周組織の経過を点ではなく、線で追っていくことが出来ない。そこが補綴専門医の弱点といえば弱点かもしれません。
エンドの予後についての詳細ありがとうございます。エンド専門医の参照する論文は何ですか?補綴科だとトロントスタディをレビューし、あとはZimmermanが押さえるべき論文ということになっているようです。ペリオだとKwokが抜歯基準の論文としてよく引用され、McGuireは少し古いかなと言ったところです。
こちらこそいろいろと勉強になります。今後ともよろしくお願い致します。
エンド専門医がエンドの予後を考える時に、実は我々は細かい数字と言うものは持ち合わせてなく、大体の大まかな数字(抜髄なら90%, 再治療なら70%、壊死歯髄なら85%、外科なら90%)しか持ち合わせていませんし、実はこの数値も専門医間で微妙に異なります。
返信削除この混乱の最大の原因は、まず成功の定義にいまだ統一見解が無いこと、そもそも成功率と生存率が異なるがそこが混同されていること、そして最後がレストラビリティに対する考え方の違いでしょうか。
成功の定義で言えば、①昔からあるStrindbergの古い定義=厳密な成功の定義(治療後のレントゲンで一切の歯根膜腔の拡大も無く、たとえ治療前よりも縮小傾向であっても、症状が無くても、それが歯として機能していても失敗と定義する)を用いているのか、②それ以外の定義を使用しているか③そもそも成功率ではなくて生存率を採用しているのかにより異なります。
また近年、インプラントの予後が高いと言う事がわかってきましたが、それは概ね成功率でなく生存率を指していると思います。
こうした背景から最近アメリカ歯内療法学会(AAE)も、①の厳格な成功の基準を少し緩和し、何方かと言えばsuccess rateではなく、survial rate的な考え方として(生存率的な基準として)成功、失敗を考える事を推奨するようになり、これが今のところ臨床で普及しつつあると言ったところです。
例えば、トロントスタディでいえば、顕微鏡もNi-Tiも使用していない、現代の歯内療法の術式とは違う方法です。勿論、Ni-Tiや顕微鏡が臨床的に治療の成功率に優位差をもたらしているかと言えばそのような有力な根拠はまだありませんが、これを今の我々のほとんどが行なうプロトコールに単純に当てはめる事は難しいかと思います。また治療しているのはレジデントですが、多くの患者はエマージェンシーからの紹介で、口腔清掃状態も大変宜しくないし、そもそも口腔内に興味が無い可能性が高いサンプルであったと思われます。しかしここでも寛大な基準であれば(機能しているかどうかで評価すれば)、成功率は90%以上です。また、こうした予後に差が出る要因として他にも①歯種の違い、②サンプルサイズ、③施術者がGPかレジデントか専門医か?、④無菌的環境か?、⑤洗浄液の種類は?濃度は?、⑥術後クラウンにしてるのか?⑦リコール率は?⑧術式は現代のものに沿っているか?⑨MAFのサイズは?⑩作業長は?⑪治療回数は?⑫細菌培養の有無は?⑬患者の年齢は?全身状態は?⑭経過観期間は?など多数の因子が絡んできます。
またインプラントとエンドの生存率を比較した研究では、概ね生存率はどちらも同じで高いと言われています。
以上からエンドかインプラントか?を選ぶ基準はsurvival rateやoutcomeからでは無く(どちらもoutcome高いのでその二つを単純に比べて治療法を選択するのではなく)、患者さんの健康状態、その治療する歯自体の持つ因子、治療する予定の歯に対して行なわれる予定の術式に対する因子を総合的に考え、患者さんがそれを把握した上で、患者に決定させるべきであるという教育をUSCの歯内療法科では行なっています。
また、エンド専門医がよく引用する論文は、Salehrabi RとRotstein I.のものがあげられると思います。
僕の今の時点での結論は、やはり補綴に対する理解、哲学がエンド専門医の歯内療法に対するスタンスにおいて差が出るのかなと思っています。
そこを目をつぶりあくまでエンド専門医として紹介先に100%任せるのか。
自分で手がけるのか(この選択肢は100%無いと思います)。
自分はやらないが、経営上自分の身内の人間にやらせるのか。
そもそも興味関心を持たないか。
いずれかの選択をいずれ迫られると思いますので、そこは自分の中のいきてきた道やこれからの私の歯科医療に対する在り方で変わって行くのかなと思います。そこを考える2年間にもしたいと思っています。
こちらこそ、先生にはいつも大変勉強させていただいています。ありがとうございます。今後とも宜しくお願い致します。
返信削除このコメントは投稿者によって削除されました。
返信削除なるほど、詳細な教授、ありがとうございました。エンド専門医の置かれた状況や、松浦先生の現状などもよく理解出来ました。臨床研究はおっしゃる通り、それそのものが専門医の「哲学」になる訳ではなく、あくまで参考資料に過ぎませんものね。そういえば、Evidence based dentistryの意味をはき違えている臨床家が日本には多いと感じます。欧米に留学した先生方が安易に口にし過ぎているというのもあるかな(こんなところで毒づいてすみません、笑)。まぁ理論と実践の関係性をここまで考察する必要はないのかもしれませんが、エビデンスはあくまでベース、参考にするものであって、最終的にはどれだけ豊富な経験をバランスよく積んでいるかが大切。Evidence based dentistry ではなく、正確にはEvidence based and experience oriented dentistryという言葉が正しい使い方でしょう。だから松浦先生が感じる「違和感」は先生が「経験」を積み重ねた上で手に入れた感覚、、「直感」な訳ですから、概ね正しいんだと思います。本当に他科の専門医の話は脳の普段使用している場所とは違う箇所が刺激されるようでインスパイアされます。これからはエンドが必要な歯をこれまで以上に注意深く診ていこうと思います。またよろしくお願いします。
返信削除