2014年10月9日木曜日

Tooth Projectのプレゼンテーション

今週の火曜日にTooth Projectと呼ばれる、抜去歯牙を根管形成して根管充填まで行ない、なぜ自分がその術式、その根充方法、その結果になったのかを発表してdiscussionするという日本人の私には最もタフなセッションがあった。


例えば抜去歯牙なので、作業長はこのセッションでは議論してもあまり生産性が無いが、作業幅径は議論に値する。なぜその号数まで拡大したか?と言う質問はたいてい拡大不足/過剰という認識から来るものであるので、自分の中にある考えを皆に伝えないといけない。伝えないと一斉にwhy? how?と言う質問が来て母国語が英語のレジデントでも答えに窮してしまう。

兎に角、教授や上級生から質問攻めにされるという1時間半を過ごさないといけないのは嫌なので先に自分で答えられるように自分の意思決定の根拠や処置の判断の正当性、ミスの原因を自分であらかじめ用意しておく。




しっかり準備して対応したため、私は殆ど質問攻めに合う事は無かった。作業長が何本か変わってしまっていると言う事以外には。

ただ、これは自分のいい訳になってしまうが、ここではラバーダムの周りを塞ぐコーキング材が使用できない。なのでヒポクロが口腔内にどうしても垂れてしまう。これを今まで何度もここで経験して患者さんに嫌な思いをさせてしまっている。するとどうしても洗浄がおろそかになってしまい、デブリが詰まりやすくなり、Patency Fileもあまりしたくない私は、作業長が短くなってしまっているという現象が起きている。また最近のシークエンスの変更等もありちょっとしたアンダーのスランプに陥っている。
自分の症例を教授とdiscussionするが、最近はいつも、アンダーだろ、とか、拡大し過ぎ(と私は思わないのでこれに関しては反論をいつもしているが)じゃないかとアドバイスを受ける。

このtooth projectでも機材の不備やまあこれは自分が悪いのだが、積極性が無いが為に洗浄液を手に入れられず、シャイな私は洗浄そのものを水で行なうかもしくは面倒でスキップしてやってしまったものがあり、2mmくらいアンダーになってしまったものが何本かあった。それと最近の臨床でのアンダーの結果をリンクさせられてしまい、Akiraはいつも同じミスを繰り返している。一体どのようにハンドでの器具操作を行なっているのか?、ハンドでのシークエンスはどのようなものか?、洗浄液はちゃんと器具交換ごとに使用したのか?、超音波で洗浄したのか?Ni-Tiを無理に押し込めたのではないか?、Apex locaterに問題があるのではないか?、patency fileしてるのか?(director間でも意見が分かれている。教授のロヘスは反対派。だが、DDSのdirectorのリービィ先生は賛成派。その他は半々)に質問が集中した。

それに対して一つ一つ答えていかねばならないので約2時間くらいプレゼンにかかってしまった。

プレゼン後、そのプレゼンがどのようなものだったか評価があるが、

”作業長の設定に多少甘さがあるものの、論旨が明快で準備された非常に良いプレゼンであった”との評価を頂く事ができた。

これで少しでも日本人の自分がこのプログラムに採用されているという爪痕を残す事ができたのではないかと少しホッとした。

そして実はもう一つ、これはエンドと関係なく議論が白熱したのが術前にインレーが入っている抜去歯牙だ。





これを見て彼らは一様に驚いていた。
日本人ならこれはおなじみの銀歯であるが、彼らは驚き私に質問攻め。。。

『これは一体何なんだ?』
『クロムか?この材料の組成を教えてくれ』
『いやこれはアマルガムだろう。。。でもこんなアマルガム見るのは初めてだ』
『マージン設定の位置がすごく縁下でしかも無茶苦茶不適合だな』
『これは直接法か?間接法か?』
『これはクラウンの適応症ではないのか?』

正直、私はここに質問が来るとは予想していなかった。
お陰で
-これはギリギリ貴金属だ→嘘付け!
-いや、これには12%金が入っていてあとは・・・(覚えていないので言葉に詰まる)→いやこれはノンプレシャスメタルだろ!ゴールドが入っているはず無いよ(笑)
-アマルガムは日本ではあまり使用されていなくて→何でだ?
-水銀の問題があって...→なんでアマルガムで人体に問題が出るんだ?政治的な問題で使用禁止なんだろ?(いやそうじゃないですけど・・・)
など質問攻めに合って答えに窮してしまった。。。

最後に教授が笑いながら、
『このような金属材料が口腔内に入っていると言う事自体が信じられないし、考えただけでお恐ろしい・・・まあ兎に角、go ahead(次のスライドに行け)』
との一言で、この問題に終止符が打たれた。

日本の皆さんはこの反応にどう思うだろうか?
一歩外を出ると、我々に取っておなじみのこの材料がこのような驚きを持って彼らには(日本以外の大多数の国:韓国、エジプト、スペイン、アメリカ、カナダ、ブラジル、インド、サウジ、クウェート、アルジェリア、キューバ)映ってしまっている。と同時に、何だかしてはいけないことをしている日本人歯科医師の代表みたいな後味の悪さが残った感も否めない長い1日だった。


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